2016/05/17

2016年5月17日 - 石巻市 湊

「港町十三番地」は美空ひばりのヒット曲だが、石巻のそこには震災前、「桃桜庵」があった。石巻五行歌会代表の佐藤沙久良湖さんの家で、例会場所となったほか料理教室も開かれていた。

ご主人が高校の同期生とあって、よくお邪魔をした。戦前に建った家は風情のあるたたずまいで、いつも旬の食材を使った手料理のおもてなしを受け、心が休まる時間を過ごせた。

今回の湊地区散策ではいの一番に足を向けたのが、家がもうない「港町13番地」だった。工事が進んでおり、大きな道路になるらしい。以下、沙久良湖さんが詠んだ3首の五行歌を引用させていただいてのリポート。

2011年3月11日午後2時46分に起きたM9.0の大地震。沙久良湖さんは家にいた。「傍らに昼寝の猫がいて、旅行用の服を縫っていた」という、ささやかな喜びの中での、地震襲来であった。


柱のほかは
みな打ち倒れ
さっきまでの平和は
見る影もない
茫然と立ち尽くす


ご主人が迎えに来て、車で逃げる。行き先はとりあえず、高台の牧山。「牧山市民の森」の案内板を左折し目指したが、交通渋滞に巻き込まれ、車を捨てる。御所入用水池近くの駐車場は大勢の人でいっぱい。大粒な雪が降っていた。「山を越え、姉がいる法山寺に行こう」と決め込んで夫と二人山道を歩いた。


雪降る中の
避難山越え
曽根崎心中など
思い浮かべる
命を預ける夫といて


沙久良湖さんが詠んだ五行歌を思い出し、牧山に行く。道幅が狭いところもあるし、3月の夕方では真っ暗に近かっただろうと想像がついた。頂上付近に「栄存神社」と「零羊﨑神社」があった。眺めが抜群の見晴らし台もあったが、あの日の夕方では、この景色も見えなかったに違いない。

牧山は6月下旬から7月初めにかけ、花菖蒲が満開の季節を迎える。


地にひれ伏し
鯨のように
横たわる
変わり果てた我が家を
凝視している



「港町13番地」にはかつて「桃桜庵」というおもてなしの家があった。



下が津波でめくれたままの案内板。



いろいろ言い伝えもある「栄存神社」



零羊﨑神社



零羊﨑神社付近から渡波方面と牡鹿半島を望む。



牧山の「花菖蒲苑」。6月下旬ごろには満開に。


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